秘境の地、伝説の幻の滝を探る その7
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その7

とうに12時を過ぎていた、予定では着かなければいけない時間であるが一向に滝が姿を現さない。

地図を広げ確認するが場所の特定が出来ない、何箇所か同じような方向に流れている場所があるのだ。

ここから先はたどり着くまで進むことだけだ、もうじき着くはずなのだ。そして午後1時を過ぎた。

川が左へと曲がっている。足元に注意を払い歩いていると突然佐藤隊員が大きな声で私を呼んだ、いや叫んだのかもしれない。

何事か私にはわからずに彼の方向を見る。そして彼の視線に促されるように向けた視線のその先には真っ白に砕け散る水と、大きく垂直に落ち込んだ岩の壁が出現した。

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水の落ちる音もまた今まで聞いたものとはあきらかに違う迫力で我々を圧倒する。

我々は息を呑みしばし呆然とその景色に引き込まれる。

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すごい、こんなところにこのような滝があるなんて。心は躍っていた。写真を何枚か撮るが後で見てみると3枚だけであった。
後で悔やむことになるがこのときは興奮していて撮る事すら忘れていたのだ。

カメラは構えてみても滝が大きすぎる。カメラのファインダーに収まりきらない。メモリーカードの容量も少なくなってきていた。

そして何よりも滝つぼの大きさ、深さ、立ちはだかる岩の壁、その両岸もまた垂直に立ち上がる壁となり、ここからさきへ進めなければ大変だ。

やがて感動から一変、不安が襲ってくる。どこを通るかしきりにルートを探す。
一歩間違えば滑落して岩に叩きつけられるのである。

思いザックを背負い、深い滝つぼに落ちることも考えられる。
いつしかここを早く通り抜けることを考えていた。

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写真を撮る余裕すらなくなっていたのである。

そんな折、いよいよ靴底が剥れた。少しだけ付いていたフェルトを剥がすことにした。これで滝の岩を登ることは危険であったが、剥れた部分が引っかかることの方が怖かったのである。

我々は水の落ちている岩の横、草つきの部分にルートをとることにし私が先頭で進む、ミスは許されなかった。
ここでケガをしてもどうにも出来ない、緊張感が走る。

右の壁から草つきへと移動する。下にの深い滝つぼを見下ろしつつ移動すると草の付いている部分は岩の出っ張り部分であった為比較的安定した状態で足をかけることが出来る。

後から息子とRさんが続く、近いと危険なので距離をおくように声をかける。

草つきの部分を登ってゆくと、上部に何とか手をかけられるように岩がへこんでいた。ここに右手をかけ思い体を引き上げる。
何とか一番の難所をクリアし、二人も後に続く。自分が登っているときよりも見ているほうがよっぽど恐怖と不安が襲ってくる。

本来ならこれこそ写真に収めるべきなのだがそのときはそんな余裕など無かった。

中腹で待っている佐藤隊員があぶない探検隊だと何度か口にする。

こんな危険なことなど想像していなかったに違いないのだ。
ましてや安全確保など全くしていないフリークライミングのようなものだったのだから。

しかし彼は一段目の滝を上がったところでビデオを回し始める。
滝つぼと二段目の滝を撮り始めた。そして又壁を登る。

我々は上部からこの滝に見とれた。上から見るとその迫力、落差はさらに増す、わたしはふと、これが伝説の幻の滝なのではないかと思った。幻の滝にもっともふさわしく、紛れも無く我々にとって幻の滝だったのだ。

この先さらにこれ以上の滝が存在しないとも限らない。伝説ではこれよりも大きく記されているのである。

我々はさらに上流へと向かう、続けざまに落差は大きくないが岩で出来た段差が何段にも連なる。そこを抜けるのは岩の壁伝いに歩くことになり非常に危険であった。幸い足がかりになる場所を何とか見つけながら進むことが出来た。

そこから200メーターぐらい進んだだろうか、この辺のところはよく憶えていない。二本の倒木と岩の斜面を流れる川、どこかで見た風景が現れた。

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佐藤隊員が叫ぶ「あの滝だ」、しかしまだ半信半疑のようであったが周りの風景を確認するうちにやっぱりここが写真で紹介されていた滝だと確信する。

一度小学校の頃来た事があったらしい。わたしもまたこの景色は記憶にあった。

しかし先ほどの滝を見てきた我々には感動が薄かった、ようやく目的の場所に着いた割には拍子抜けした感があった。

ここが我々の目指していたところだったのか。

それほどまでにさっきの滝は我々を圧倒し、強烈なまでに脳裏に焼き付いていた。その興奮は未だに残っているのである。

佐藤隊員もそれは感じていた、そして私の説にそうかもしれないと思い始めていたようだった。

この滝で息子のルアーに大岩魚が食いついた。ようやく引き寄せるが手元で流木の中に逃げ込み針が外れた。
私はこの滝のぬしを釣り上げなくてよかったのだと言った。まだこの先は長いのだ。

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ここで休憩を取り、先ほどまでの行程をふりかえる。この場所を見て皆、ここが幻の滝だと言う。果たしてそうなのだろうか?

確かに滝であることは間違いないのだが。

音も違いすぎる。大雨が降ったときなどはその落ちる音が聞こえたという話もあるくらいだ。

先ほどの場所には誰しもが簡単に近づくことなど出来ない。山から降りることすら困難と思われる。幻の滝にふさわしいのである。その岸壁には刀が刺してあるとの伝説もある。だとすれば・・・。

幻の滝をめぐる疑問を抱きつつ、我々は歩き出した。終始話題はこの滝の話であった。

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1時間ほど歩き、漸く木材運搬用の道路とぶつかった。そこから上り坂の道路をひたすら歩く。

体がとっても重い、40分ほど歩くと愛犬のレナと父、と母が迎えに来てくれていた。

心配で見にきたのだという。冷たいお茶を持ってきていた、この時のお茶の美味かったことは忘れられない。疲れを癒した我々は、止めてあった車に乗り込み、昨日の道を引き返した。

そして我々の長い2日間の秘境の地、伝説の幻の滝を探る探検は終りを告げた。

だが我々にはその検証がまだ残されていた。
【2011/09/17 18:10】 | あぶない探検隊一時退却 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その6
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ここで我々が向かっている幻の滝について少しふれて見ようと思う。

この滝をは八瀬滝とこの地域の人は言う。しかし近年、中学生が大人の人達に案内されて何度か行っているようである。記念誌にもその写真が掲載されている。又、タウン誌宮古わが町の滝の特集でも写真が掲載されていた。

ということは幻の滝ではないということになる。皆が見ていることになるのだから。

しかし、あの滝を見たものは二度と帰ってこない、という謂れがある伝説の滝だと記念誌に載っていた。
という事は写真のものは違うのではないかという事になる。

この記念誌には郷土誌稿・多志呂に記された、「八段の瀑布」が掲載されている。
「高さ三十丈、淵の四周、凡そ三十間」。「西岸利刀を以て裁断せる如き絶壁、突コツたる奇岩、嵯峨たる怪石、その間を奔流し、岩に激し飛瀑石を打ちて玉と砕け、散じて雲霧となり、地底に入りては地震う、雄大豪石の気四辺に張りて幽遂脱俗の仙境なり」

私も一度友人とこの沢を上流から調査した。その際写真の光景を上から見ているのである。20数年前であるから記憶は定かではないが多分その場所だとおもわれ、しかしこれがその滝だとは判断できなかった。そしてそこから引きかえしたわけだが、滝はまだ先であろうと二人で話したような気がする。八段の瀑布では無かったと記憶する。

ただ、二段の滝に4本の筋上の飛瀑があった、それで八瀬の滝だと言う説もある。

高さ30丈といえば約90メートル、滝つぼの周囲は三十間、およそ55メートル、八段の瀑布。
絶壁、奇岩、嵯峨たる怪石、散じて雲霧となる。
そして幽邃脱俗の仙境だと書いてある。

はたしてこの先何が待ち受けているのか、未だにその全貌は見えてきていないのである。

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ただ我々は、そこを目指している。そこの着くことを目標に歩いているのだ。そして期待は大きく膨らみ、おおよそ昼には着くであろうと地図から導き出していた。

体と荷物で100キロあまりの重さを支えてきた私の靴底が悲鳴を上げた。接着剤で張り合わせた靴底のフェルトが剥れ始めたのである。これがはがれたら薄い靴底とグリップの利かない靴は危険であり、スピードが大幅にダウンすることは必死だ。

持ってきたビニールの紐で縛ることにした。休憩場所を探しながら歩いていると、前方に浅い流れが見えてきた。
よく見ると一面岩でできた川だ。その上を水が流れているのだ。

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幅は広く、長い距離にわたりその岩は続いていた。私は千畳敷と名付けた。とにかく岩が畳状に段差を作っている自然の作り出した見事な風景なのである。傍らに赤い木の実が秋を感じさせ水の流れに彩を添える。私はすばらしい景色にため息を漏らし、靴底を治すことを止めしばしその場にたたずんだ。

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日頃の不摂生がたたり、靴を縛ろうにも手が届かない。そういえば先週、早池峰登山から帰ってきて逆に体重が増えて いたことにがっかりしたばかりだ。

息子に自分でやれと言われながら、何とかお願いして結んでもらった。

歩き出すと、ほんの少し歩いただけで外れる、何度か繰り返すがやっぱりだめだ。とりあえず気をつけながら歩くことにした。
何とか滝を越えるまで持ってほしいと願っていた。

他のメンバーも大分疲労がたまってきているらしく会話が徐々に少なくなってきている。

佐藤隊員がちょっと甘く考えていたとつぶやく。それどでも山よりは楽かもしれないと行っては見たが、今回は装備が違うのだからよくここまでやってきたと思う。相当疲労しているに違いなかった。

息子は相変わらず腕が痛いといいながら竿を振り続けている。釣りキチもここまでくると手がつけられない。勝手にやってろ、なのだ。

私もまた靴が不安になり気分が滅入ってくる。それにしても次から次へと変る景色に驚いたり感動したりしながら、それはそれで楽しみつつ歩を進める。

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もう昼飯は無い、チョコレートを口に入れ空腹を癒す。

このとき巨大な岸壁が我々の前に立ちふさがることは想像もしていなかったのである。そしてこの靴底が引き起こす恐怖も知りえなかったのである。
【2011/09/14 18:32】 | あぶない探検隊一時退却 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その5
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その5

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我々が今日歩くことのできる時間は限られていた。
既に太陽は傾き始めていたのだ。

歩きながら野営できる場所を探すことにした。もしかしたら今日中に着くかもしれないという浅はかな考えはすでに消えうせていた。

もう無理をする必要もなかった。それより明るいうちにテントを張り、夕食を作ることのほうがいいと判断した。

しかし、テントを設営できる場所が中々見つからない。幸いにも雨は止んでいた。1時間ほど歩いただろうか、木を出す為に作られたと思われる道路のようなものが見えてきた。

少し歩くと川沿いまで続く道路があった。当初テントをはれる場所はいくらでもあると聞いていたのだが釣りをしていて見かけるような小石の川原などは存在しなかった。何しろ大きな岩がほとんどで大水が出ても岩の中を流れるから無いのだと思われた。そして土が見えるような場所はやぶになっているのだ。

もう少し歩ける気はしたが、平らな地面で寝心地がよさそうであることからこの場所にテントを設営することにした。幸い飲めそうな沢水も流れていた。我々は早速テント設営に取りかかった。川の水はこの時期としては透明できれいでるが、上流が放牧地のため飲料にするにはためらいがあった。

着替えを済ませ、飯を炊く、が後で湯を沸かそうと汲んだ沢水を見たら泥水であった。ご飯はもうすでにふきこぼれだした、後の祭りである。まあ死ぬことは無い大丈夫だと皆に納得してもらう。その後はあぶない探検隊のTOSHIが以前富良野に行った土産だといって買ってきてくれたバンダナがあることに気づきそれを使って水を濾すことにした。その後その水を沸かして飲料として使う。
あたりはもうだいぶ薄暗く、肌寒くなっていた。

この場所で一番怖いのは熊だ、里では熊がだいぶ畑のとうもろこしやら果ては産気づいた牛まで襲っているのである。息子は入渓当初から爆竹を鳴らしながらここまで来たが熊の気配は感じなかった。あるのはカモシカの足跡だけであった。逆にこうゆう道らしきところは用心しなければと思いテントに入る。テントを襲われたら逃げ場が無いのだ。
ここは間違いなく熊の巣と呼ばれる場所なのだから。

夕食を済ませテントに入る。私が置いて行こうと言っていた発泡酒と日本酒が出ていた。佐藤隊員は日本酒をそして私たちには発泡酒を勧めてくれた。申し訳ないと思いつつ、汗と疲れでからからになったのどに流し込む。美味い、二人であっという間に二本の缶を開ける。重い荷物を苦労してここまで運んできてくれた佐藤隊員にほんとに感謝なのであった。

疲れていたせいもあり8時頃には寝袋に入り明かりを消す。
しかしテントの下に尖った石がごろごろしていることに気づくがいまさら遅い。横になるとわき腹に、上を向くと背骨に、その石は突き刺さってくる。眠れない長い夜が続く、時折がさがさと外で音がする。熊がきたかと耳をそばだてる、何度か鼓動がはやくなるのを感じつつその音の方向を確認すると、どうやら息子がテントに触れたときこすれる音らしかった。

私は石とテントのこすれる音で眠れない夜を過した。幸い熊はやってこなかった。会うことも見ることも無かった。ホッとした反面残念にも思った。出来ればカメラに収めたいと内心思っていたからだ。

我々は朝飯を食べ、8時を少し回った頃出発した。早く出るにこしたことは無い、いつ着くとわからず、帰りの道路を見つけることが出来るとも限らないのだ。だがもしかのときはもう一泊すればいいとまだ気持ちには余裕はあった。

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「さあ、出発だ今日は八瀬の滝に会えるぞ」、そういって声をかける。しかし昨日の疲れを荷物を背負った瞬間感じた。足も思うように上がらない。「今日は怪我をしないように要注意だ」、皆うなづき無言のまま歩き始めた。

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山中に石積みの道らしき跡を発見する、林業が良かった時代はこんな山奥まで、金をかけ道路を作って木を運んでいたのである。だいぶ国から補助金が出ていたらしい。そんなことを考え、目の前に現れる風景を楽しみつつ、一歩づつ確実に上流へと向かっていた。

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【2011/09/12 19:04】 | あぶない探検隊一時退却 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その4
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その4

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「高さ三十丈、淵の四周、凡そ三十間」。「西岸利刀を以て裁断せる如き絶壁、突コツたる奇岩、嵯峨たる怪石、その間を奔流し、岩に激し飛瀑石を打ちて玉と砕け、散じて雲霧となり、地底に入りては地震う、雄大豪石の気四辺に張りて幽遂脱俗の仙境なり」

語り継がれる伝説の滝は果たして我々にその姿を見せてくれるのか。

しばし休憩ののち歩き出す。休憩をあまりとりすぎることも、かといって疲れすぎるのもまずいのである。

足場の悪い川と岩の間をぬって歩くため、思うように進まない。いやだいぶ歩いたと我々は感じている。もう時計は12時を回っていた。歩き始めたのは8時30分頃であるから、かれこれ4時間近く歩いてきたことになる。

大きな岩の上で、持ってきた昼飯を食べることにする。少しでも軽くする為に、にぎりめしと水だけであった。食べ終えた私たちは地図で場所を確認することにした。木に囲まれ山すら見えない、目標物が全く見えないのだ。そして陽射しよりも薄暗い場所の方が多いのだ。

写真がぶれているのは疲れて息が荒いことと、この川に覆いかぶさる木々の暗さに原因があるのだった。しかし三脚があればと後悔するがもうこれ以上荷物を背負うことなど出来なかった。

場所を確認するために方位にあわせ地図を固定し、川の流れる方向で一致する場所を探すことにした。何箇所か同じような場所があるが、歩いてきたであろう距離で目安をつけることにした。

だが自分たちの歩いてきたと思われる距離と地図の現在地が違いすぎるのだ。それは我々の疲れから来る希望的観測とでも言うのだろうか、後に予想以上に進んでいなかったことを思い知らされるのである。

計画が進む中で近所に住む釣り好きのK氏から我々の目指す滝まで4時間でいけるとの情報を得ていた。
その話はどうも違いすぎると思っていたが半信半疑、実は近いのだと信じたかったことも事実だったのだ。もしかしたら一日で着けるのではないか、怪我もしているし早く帰ることをどこかで望んでいたのかもしれない。

もうその4時間も当に過ぎているではないか、そして5時間が過ぎたそのときである、突然目の前に白い壁が現れた。

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これが私たちの探していた八瀬の滝か?私はもしかしたらと本気で思いたかった。しかし地図から見てもどうにもルートの3分の1すらきていないことがわかる。

しかしこんな場所にこのような滝があることは多くは知られていないであろう。もしかするとK氏の言っていた4時間で着いた滝というのはこのことではないかと我々は思った。

今思えばその考えがますます真実味を帯びてくるのである。
片道でも1日ではつかないであろうこと、4、5時間で着く事が出来、帰ってこれるのであれば、まずこの滝しか考えられないのである。

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これは八瀬の滝ではないのだ。しばらくその景色に見とれシャッターを切る。誰もが簡単には見ることの出来ない滝を眺めつつ、そのわきにルートを探る。今日は日が暮れる前に何とか半分の距離までは歩いておきたいと考えていた。急がねば。

竿を振る息子に急ぐからやめろといい、先を急がせるが、かといって佐藤隊員のことを考えると危険であるからあまり急がせるわけにも行かないのである。息子は山も渓流も小さい頃から歩き、体で覚えているから注意してもお構いなしで岩の上をぴょんぴょん飛び越えていく。そして先に進んではルアーを投げているのだ。

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やがて朝の不安が的中した、確立20パーセントではあったが午後は雷を伴う雨が降るという予報だ。
空がにわかに雲で隠れてしまった。そして水面に小さな波紋が広がり始めた。私は空を仰いだ、雷は聞こえてこない。もし雷雨となればたちまち増水するであろう。そうなればここで雨と増水が治まるまで足止めを食うことになる。そうなれば1日は伸びてしまうことになるのだ。かりに増水したとなれば余りにも移動することが危険となるのである。

まずはザックが濡れ、中の着替えやシュラフ、テントが濡れないよう、ザックカバーの変りに用意させたゴミ袋に荷物を入れることを勧めた。これで何とか雨はしのげる、上着はもとより汗と川の水でぬれているのだから問題なかった。とりあえずいけるとこまで行こうと声をかけ歩き出した。

やがて左の沢に岩の間を落ちる滝が現れた、暗い岩肌を真っ白な水が流れ落ちる。この景色にしばし見とれる。

この場所では感動が何回あっても足りないのだ。

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しかし、ゆっくり楽しんでいる時間は無かった。雨が大降りにならないうちにテントサイトを見つける必要が迫っていたのである。
【2011/09/10 17:24】 | あぶない探検隊一時退却 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その3
秘境の地、伝説の幻の滝を探る その3 (以前のブログになかった写真が多数おさめられています)

我々の行く手には大きな岩が川を取り囲み、前に進むことを拒んでいた。

転ぼうものならすぐ大怪我をするような鋭利な岩が連なっていたのである。

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私と息子は釣り用のウェダーに登山用のザック、しかし佐藤隊員の装備はゴム底の靴にジーンズ、ザックはキスリングの釣り用のザックであるという。

岩や山道を歩く場合、近年キスリングは使用する人がほとんどいない。荷物は入るが体よりはみ出していると引っかかって歩きにくく、危険なのである。肩のベルトも細かった、長時間の登山用には作られていないのだ。

転んでけがをした時点で靴が滑るであろうことはわかっていた。特に藻や苔の付いた岩はすべるから非常に危険であるし、まして重い荷物を背負っているから転んだときの衝撃は相当なものだ。
命すら危ういのである。

二本の足だけで歩くことはあまりにも不安定である為、私は川を歩きだしてすぐに、腰の鉈を取り出し、細い木を切り、杖を作って渡した。これで3点で体を支えることができ、だいぶ安定した状態で歩くことができるはずだ。

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彼はその後、細心の注意を払い、転ばぬよう進むことが出来たはずである。食い込む肩の荷も何とかしようと考え中身を吟味した。
寝袋、着替え、テントのポール、食料、これらはどうしても必要不可欠なものだった。そして水が2リットル、発泡酒に日本酒これが一番重さの原因であることがわかり、おいてゆくことを勧めたが断られた。
だがやがてこれが終始彼を苦しめることとなるのであった。

我々も同様、この荷物の重さに苦しめられ始めた、岩を超えるたびに汗が噴出し、背中は汗でびっしょりになる。

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やがて川を遡る我々の目の前に大きな渕と岩の壁が立ちはだかった。水量が少ないこの川でこのような幽玄とも呼べるような渕が存在することに驚きしばし呆然とする。

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本来源流行などというものは泳ぐことも考慮して軽装備でやるものなのであろうが今回はそんなことは出来ない。我々は回り込めるルートを探した。検討した結果、左側の山に入り、笹の中を抜けるのが一番安全であろうと判断し、斜面は急であったがそこにルートをとることにした。

登ってまもなく人の通ったような道があった。しかし行く手には人の丈以上に伸びた笹が我々を阻む。これは獣道だったようだ。半ば強引に笹をかいくぐり何とかその壁の上部を回り込むことができた。

この先このような場所がいくつ出てくるのか、果たして超えてゆけるのだろうか不安が胸をよぎる。

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しかしこの不安も打ち消すような美しい光景が次から次へと現れる。やがて沢の合流地点が現れ、その先に細い流れの滝が姿を現す。
私は皆にしばしの休憩をつげ、沢に入りその風景をデジカメに収めた。

細く落ちる滝は静かで繊細な絹の糸を思わせる流れであった。

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【2011/09/09 18:43】 | あぶない探検隊一時退却 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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