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in 唐臼の郷 鍛冶ヶ沢から

蜩の声に

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2010-7-10.jpg

今日も一日メロンと格闘する。
ふと気が付くと蜩の鳴く声が山間に余韻を残して響き渡る。

もう夏か。

毎日をやらなければいけない仕事に追われ、気が付くともう半年が過ぎ去っていた。
体を湿らせた汗がこの時間になると乾いて、夕暮れの音と風が体を心地よく包みこんだ。

いよいよメロンも仕上げ段階に入る。
今日は朝から日がさしたり、雨が降ったり管理の面倒な天候だ。
ビニールハウスに延長ケーブルを引っ張りこみ、CDラジカセからモーツァルトの曲を流すことにした。

楽器の旋律と裏山で鳴く鳥の声が絶妙なバランスで空間を揺らす。
一息入れ汗をぬぐうとマルハナバチの花を渡る姿が目を楽しませてくれる。

俺も蜂のように飛べたらどんなに楽しいことだろうと思った。重なり合ったメロンの葉の間を自由にとぶことができるのだ。だからと言って決してゆっくり飛んでいるだけではない。ひとたび蜜を吸い終わると、ハウスの中から飛び出した瞬間ものすごいスピードで巣のある方へ飛んでゆくのだ。

たまに蜜蜂の巣箱の前に立ってその姿を眺めていると、その飛行する様子はまるでスターウォ―ズの映画を見ているようだ。突然視界に入ったかと思うと巣の入り口に突っ込んでくる。出てゆくときは飛び出したかと思うとワープしたように瞬間的に視界から消えさってしまうのだ。
この様子はいつまで見ていても飽きることがない。

蜂の飛行は実に楽しそうだと思った。彼ら、いやすべての働き蜂がメスらしいから彼女らというのが正解だろう。彼女らにしてみれば短い命を蜜を集める為だけに必死で働いているのだから楽しいわけではないだろうが。

そんな事を思いながら蔓を直していると突然左手に激痛が走った。理由が全く分からない。ただ痛いのだ。
こんな感覚は久しぶりであった。だがなんとなく何かに刺された痛みであることは長年の経験から察しがついた。
蔓のあたりを観察しているとマルハナバチが茎を登ってきた。
こいつが刺したのだと確信した。

蜂アレルギーを持っているので、傷口と思われるあたりを吸う。すぐには何処なのかわからないのだが、指を絞ると一点だけ色の違うところが出てくる。それからひたすら毒を絞り出す。
アナフィラキシ―が怖いのだ。今日は家にだれもいない。
絞ると刺した傷口から血が滲みでてくる。何度かやっているうちに痛みが引いてきた。腫れもないようだ。
幸い大したこともなく仕事を続行する。

ハウスの中で外に出たくている奴は手で捕まえて放してやるがそれは刺さない。(真似はしないでください)
突然つかまれるから驚いて刺すのである。
久しぶりの痛さを体験した。

蜂にもモーツァルトが聞こえているのであろうか。

今日も一日が暮れようとしていた。
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