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in 唐臼の郷 鍛冶ヶ沢から

今年もプーさんがやってきた

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只今子育て中。

この写真は巣箱から取り出した一枚の巣である。クマに襲われ落ちた巣を取り出し、外で子育てをやってもらっているところなのだ。当然蜜は蜂が回収して巣箱の中へ運び込んだ。あとは子供たちを育て、無事みんな巣から足してやらねばいけないのだ。通常丸胴などではこのやり方で巣を何枚か抜き出し、蜜を採る。しかし写真のように蜜と蜂子が混在するわけで、相当被害も出てくる。この一枚で裏と表に何百から千単位で子供が育っているのだ。
当然一緒につぶすことになる。

蜂たちは外に出された巣であっても、出てきて一生懸命世話をする。生まれた子供はすぐさま、巣穴の清掃を行う。生まれて間もなく働き始めるのである。外の出ている巣板ではその様子をじっくり見ることができる。
この巣には蜜がないから巣箱の中に入れてやることも必要だ。

さて、なんでこういう事になっているかというと、昨年と一日違いで熊がやってきた。
うちのすぐわきのところの巣箱二つが被害にあった。一つは全滅、もう一つは上げしっかりと厚い板で止めてあるからさすがに開けることはできなかったようだが、その爪痕はすさまじい。毎年板が削られてゆく。
山から転がした巣箱の中で巣がはがれおちたのがこれだ。

決まって翌日、食べ残しと、取り残した巣箱にまたやってくる。そんなことでセンサーライトを山道に取り付けた。昨年向かいあってにらめっこした場所に置く。
壊された巣箱はもとの位置に戻す。まだ蜂たちは多くが無事だからだ。
避難させればよかったのだが、ライトで驚くに違いないとそのままにした。

夕暮れも迫り、他の巣箱は一旦家のほうへ避難させる。そんな作業そしていると変な声が聞こえた、そっちの方に行ってみるとセンサーアラームのなる音がする。まだ明るいがもう来たか。でも驚いて逃げただろうと移動作業を急ぐ。そのあと、ロケット花火を何発か打ち上げ、山に音が鳴り響く。

夕飯を食べ、巣箱の様子を見に行く。懐中電灯で照らしたその先に戻したはずの巣箱がない。
やばい、音や光をものともせず奴は確実にやってきた。ひとりで近づくのは少し危険だ、家族を呼んでくる。左手には傘を持つ。クマが襲ってきたら傘を広げるのがいいと聞いた。そんな時間があるかどうかは別問題だ。

爆竹を鳴らす。これなら逃げたであろう。ゆっくりビニールハウスの間を近づく。
左側の山手から熊のうなり声が聞こえてきた。奴は確実に近くにいる。これ以上は近づけないが、懐中電灯でその周辺を照らして見る。どこにいるか暗闇の中の黒い熊は見つけることが困難だ。目が光るはずだが、奴は逃げない。それどころか威嚇してくる。うちの犬とおんなじであげた餌をとろうとするといがまれるのとおんなじだ。

近くから巣箱の様子を見る為に、ビニールハウスの中を通って、戸をあけて隙間からのぞく作戦に出た。
これだけ大きな声で話をしながら、花火も鳴らしながら近づいているのだから問題ないだろう。そう思っていたのだ。巣箱側の戸をあけて懐中電灯を照らした。その瞬間近くの山からうなり声が聞こえた。確実に俺を威嚇しているのだ。すぐさま戸を閉めた。しかし奴が来ればビニールはすぐに穴が開く。これはまずい。後ろから襲われないかと思いながらハウスの中を引き返す。

奴の声はハウスから離れて見ていた嫁と母にも聞こえていた。奴には人が近付こうが、声が聞こえようが、灯りが点こうが、爆竹がなろうが関係なかった。あとは一対一でどちらが退くかそれしかなかった。
しかし、暗闇の中で熊と対峙するのはこっちが不利だ。こっちは視力も嗅覚もかなわないのだから。

とりあえずこの場は引き下がるしかなかった。悔しいが今この状況で諭すことはかなわないのだ。
しかし、家の周りで熊に威嚇されるのは頭に来るのだ。こんな時うちの犬は一向に役に立たない。いや逆に怒らせてもまずいかもしれないが。

奴は私に何を訴えたかったのだろう。初めての出来事でたじろいでしまったが、もっと話し合うべきではなかったのだろうか、もしや子供でもいたのだろうか。昼なら敵意のないことを伝えることもできるのだが。

そんな畑で今日も仕事は続くのであった。

そういえばその翌日の夜救急車が通った。私に家で誰かクマに襲われたのではないかと電話がかかってきた。
でもとりあえず、クマと仲良くお互いのエリアをしっかりと認識してやっていくしかないだろう。
うちの集落(鍛治ヶ沢)では、別の場所でも同時期巣箱が2つ壊され、デントコーンの畑が被害にあっている。
夜は家の周りは熊だらけ、たぶん昼もその辺に潜んでいるに違いない。
人を襲っちゃいけないそのことだけはしっかり守って欲しいものだ。たぶん1頭や2頭ではないかも。
毎年のことだし、威嚇するのは奴もそれなりにわかっているからだろう。

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